会のご紹介
設立の経緯
諏訪流放鷹術は織田信長に名を賜わった小林家鷹を初代に、徳川将軍家直参鷹匠を経て宮内省鷹匠であった16代目鷹師 花見薫氏まで、その時代の有力者や宮内省専属の鷹匠として活躍しておりました。
技術の研磨も素晴らしく、職人意識が随所に表れた、いわば「完璧を目指す鷹の調教」を目指しており、その中で考案されていった技術体系と関連する訓練道具や設備など1つ1つが世界的に見ても独自性が髙く貴重なものです。
本来、諏訪流に於いては非常に馴らしずらい「網懸(アガケ)という野生で自活している鷹を捕らえて馴らす」ことを主にした技術体系であり、同じオオタカであっても巣鷹とは種類が別であるくらいに訓練技術や勘所が異なります。
専門職として鷹匠が一日のほとんどを鷹の訓練に時間を充てることを前提とした、この技術体系を民間で正確に体現することは、自身の人生にも影響するほどに大変苦労の多いことですが、花見鷹師に師事した3名の鷹匠(日本放鷹協会創設者) 田籠善次郎氏、篠崎隆男氏、室伏三喜男氏(当会初代会長)は民間でその教えを残していこうと、伝統の橋渡し役として、多大な苦労の中、これを実現する姿勢で放鷹に携わってこられた歴史があります。
現在、日本の放鷹の変化が著しい現状から、数百年かけて伝わってきた繊細緻密な諏訪流の伝統的な放鷹技術が忘れ去られていくことに危機感を感じ、現在、それぞれ独自の活動をされています。
私たちは、先人たちの意志を引き継ぎ、小林鷹師~花見鷹師から伝承された、貴重な諏訪流放鷹術の「原型に忠実な伝承」と「橋渡し役を育てる場」をつくる必要性を強く感じ、
この度、室伏三喜男氏を初代会長に迎え、「放鷹術 諏訪流古技保存司会」を設立する運びとなりました。
※日本放鷹協会:1983年 諏訪流16代目鷹師 花見薫氏に師事し、諏訪流鷹匠に認定された田籠善次郎、
篠崎隆男、室伏三喜男の3名により創設され、1985年初代会長に花見薫鷹師が迎えられた。
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目的と規約
鷹の調教は、その鳥の生後からの様々な経験、訓練開始の時期、生理状態、気温、周囲の環境など様々な条件が影響します。網懸や相応の鷹の場合は、より高い観察力と技術精度が要求されます。よって、文章や映像によって完全に網羅されたマニュアル化は不可能です。書物や記録から調べ、掘り起こして知識として保つことは可能ですが、実務の場では、正誤の判断がつかず確信の持てない作業になります。
多くの日本古来の鷹狩りの技術体系が途絶えてしまった中、大正から昭和と宮内庁鷹匠として仕え、戦前、「日本の鷹狩り最後の黄金期」をプロの鷹匠として様々な公式猟を経験された花見鷹師より、実際に訓練や狩り場に立会いのもと技術指導を受け、その技術体系や感覚が現存している事は、何物にも代えがたいものです。
我々はこの「直伝された技術や感覚」に最大限の価値を見出し、日本の文化的背景、日本人の感性が色濃く表れ、独自に進化した鷹の仕込み、洗練された立ち居振る舞い、独自に考案された道具の数々など伝わったものを、可能な限り正確に次世代に伝える事、橋渡し役の育成、鷹狩り文化啓蒙、技術を還元した野生猛禽類の保善活動などを目標とし活動してまいります。
活 動
・諏訪流鷹匠認定制度
小林宇太郎鷹師~花見薫鷹師の技術体系を可能な限り忠実に伝承する技術者を認定する。
伝統文化や技術は、古流にのみ固執することで存続が困難になる場合がありますが、技術者としては根幹を作るために古流を踏襲する必要があります。その上で、伝統技術者として伝統を愛し、変えないように努力する中、時流に合わせ変化し、伝承の流れから見て、正しいアレンジを加えてゆくことが伝承であり、原型を踏襲せず変化させてしまうことはいわば、型無しになってしまいます。
諏訪流鷹匠の主な特徴である網懸やそれ相応の鷹(巣鷹は使用しない)に対応した調教、訓練技術の一つ一つを再現し、良いコンデションで猟ができるよう仕上げていく過程を体得し確認する技術試験、伝統的な道具の制作と使用、飼育設備の所有、狩猟や鷹の飼育に関する法律など筆記試験が主な内容になります。
小林鷹師や花見鷹師が現役で活躍された時代のプロの鷹匠に、少しでも近づくようにチャレンジすることが、現代の諏訪流鷹匠を目指すものには求められる姿勢です。
この厳しい基準を満たした者は鷹匠として十分な根幹を備え、技術の橋渡し役として将来、実力と正しい認識を兼ね備えた伝統継承者 諏訪流鷹匠として活躍していくことでしょう。
・研修会
・技術研修会
・共猟会
・各種勉強会
・伝統狩猟、鷹狩りの正しい理解、普及啓蒙活動
日頃の訓練の一部を披露し、鷹狩への理解を深めて頂く事を目的とした実演や講演会
組 織
代表 遠藤圭一郎
事務局 桑原強
入会について
正会員
・技術の橋渡し役として諏訪流鷹匠を目指す方
・伝統文化としての鷹狩りに興味があり、学びたい方
・会の活動に自ら意欲的に学び参加することが出来る方
賛助会員
・鷹の調教や鷹狩りの実務以外の分野で当会の活動に賛同し参加いただける方
・鷹狩り文化や猛禽類の研究、保全等に技術を生かしたい方
*当会は伝統文化の担い手として、オオタカやハヤブサなどの希少種を扱い、狩猟を
行うといった活動の性質上、厳格なコンプライアンスとモラルが求められます。
そのため、当会の活動が、ご自身の目的に一致するか確認して頂くために、正会員への
入会には1シーズンほどの仮入会期間を経て既存会員による推薦を受ける必要があります。
*サポーター制度
当会の活動内容に賛同し、応援頂ける方を対象にサポーター制度の導入を致します。
サポーターの方を対象に「鷹のお話しと実演会」を催します。鷹匠との交流、里山にて
実際に訓練の一部をお見せ致します。
入会金 : 5,000円
会費 : 10,000円
賛助会員 : 10,000円
サポーター : 3,000円